なお屋

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イヤよイヤよも好きのうちなんでしょう?

 呑みに繰り出したと思ったら、気づけばベッドの中でした。

 あれ……? 確か黒づくめさんと呑みに行って、なんか、アオイさん達と会った気がしましたが……ハテ?

「う〜、アタマ痛い……」

 時計を見ると、昼過ぎを回った時刻。いつ帰ってきたのかも覚えていませんが、どうやらわたし、丸一日熟睡していたようです。

 まぁそりゃあ一昨日から昨日にかけては徹夜のあげく飲み続けて、しかも街に屋敷に冥界にと走り回りましたからねぇ。体力気力ともに底を尽きるというものです。

「ふふ……ふふふのふ……」

 でもわたしは、思わず笑みを零します。体のけだるさも、スポーツのあとの心地よさのようです。

「二日酔いでもだいじょーぶなんですよ〜。何しろわたし、ココのうちの子ですから!」

 どんなに寝ていても怒られない。

 どんなに呑んでも翌日に仕事ない。

 それでいて、衣食住にはまったく困らない……!

 そう──今やわたしは、安心と自由を完膚なきまでに手に入れた勝ち組なのです!

「うひょ〜〜〜! 素晴らしい、素晴らしいですョ!!」

 そうしてわたしはスキップしながら、疲れた体を癒やすべく、貴賓室に備え付けのバスルームに入ります。

 バスルームには、いつでもちゃんと湯が張ってあるのが素晴らしい……!

 わたしは衣服をぽいぽいっと脱ぐと、湯船に身を浸けたのでした。

「はぁ〜〜〜、きもちイイ……」

 わたしは全身リラックスして、息を長く長く吐き出します。

 思えば、アオイさんと出会ってからというもの苦労の連続でしたね(涙)。

 せっかくわたしが、キリ番ゲット特典を引き当ててあげたというのに、些細な間違いに難癖を付けられて、一歩間違えばご臨終の日々でしたからね。

 まったく。まったくもうアオイさんったら。

 傍若無人の自己チュー美少女にも程があるでしょう?

 でも、そんなツラくてツラい日々とも、これでお別れなのです。

 なにせわたし、この大富豪さんちの娘になったのですから!

 まぁ正確には来賓ですけど、もう娘のようなものですから!!

「あは〜〜〜、幸せ……」

 ふと横を見ると、バスタブの縁にベルが置かれています。

 これってもしかして、メイドさんとか呼べるアレですかね……!?

 そうしてわたしは興味本位でチリリ〜ンと慣らしました。

 すると間もなく、バスルームの向こうからメイドさんの声が聞こえました……!

「ユーリ様、お呼びでしょうか?」

 おおう!?

 な、なんという贅沢!

 なんという貴族階級!!

 この世界の貴族様は、みんな、こんな感じでメイドさんを侍らしているというのでしょうか!?

 アオイさんの世界でコレやったら炎上必至ですョ?

「んん〜、そうですね。入浴剤なんてありますかね? あ、それと着替えもお願いしますョ」

「かしこまりました。少々お待ちください」

 ほどなくメイドさんが入浴剤を持ってきて、バスルームに入ってきました。

「お持ちしました」

 おおおう!

「我こそがメイドである」と全力主張するかのようなヒラッヒラのエプロンドレスがよく似合う美少女じゃありませんか!

「ありがとう。あなた、お名前は?」

「ウィーリカと申します」

「おいくつ?」

「今年で17です」

 17歳かぁ。うーん、ギリギリアウトな年齢ですが、でも世界が違いますからね?

「一緒にお風呂、入りましょう?」

「え……でも……そ、そんな……」

「よいではないですか。よいではないですか!」

 ためらうウィーリカちゃんの手を、わたしはちょっと強引にひっぱって、彼女のエプロンドレスの結び紐に手を伸ばし、そうして勢いよく──(以下自主規制)

 

 とまぁそんな感じでわたしは、きっと、もう生涯に味わうことのないであろう至福の生活を満喫するのでした。

 

(ウィーリカちゃんがどうなったのかは……つづかない)

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